「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「……したことないのに、わかるわけないじゃないですか」

「池田の囲われ者なんだろう?」

「昨日の話、なに聞いてたんですか。
 私はお給金もらってただけのタダ飯食らいの囲われ者ですよ?」

 あ、そうだ、と珠子は積まれた本に向かって歩き出す。

「なにかいい本ないですかね?
 デエトについて、詳しく載っているような。

 二人で何処に行ったらいいとか……」

 もう少し後の時代には、婦人雑誌や少女雑誌がいろいろと刊行されたのだが、このときには、まだなかった。

「ちょうどいい感じの本がないですね」

「……うん」
という返事が小さいなと思ったら、晃太郎は脱線して、全然違う本を読んでいた。

 じゃあ、私もいいか、と二人、積まれた本の前にしゃがんで、本を読む。