「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 珠子は笑って振り向く。

「手すりがあるから落ちやしませんよ。
 すごい眺めですね。

 四国は何処なんですかね~?

 ……晃太郎様?」

 晃太郎は何故か腕組みし、目を細くして、下ではなく、空の方を見ている。

「あのー……」

 もしや、怖いのですか?
と思ったが、言っては悪いかと思い、珠子は黙った。

「そろそろ下りましょうか」

「そ、そうだな。
 ここからならよく見えると思ったが、こちらから見えるということは、向こうから見えるということでもあるし」
とよくわからないことを言う晃太郎とともに、早々に塔を下りた。