「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 それを見送っていると、晃太郎が、
「そうだ。
 電動の昇降機(エレベーター)がある大林高塔とかどうだ」
と言ってきた。

「いいですね」

 高台に作られた高さ45メートルの望遠楼、大林高塔は、大阪市内どころか、四国まで一望にできると言う。

 のちの通天閣のモデルとなった塔だった。

 木造の塔の真下に立ち、見上げた珠子はその大きさに圧倒される。

 浅草の凌雲閣、いわゆる浅草十二階は下はレンガ造りなのだが、これはすべて木造だった。

 白い塔の先端には博覧会の正門にあったのと同じようなドームがのっていて。

 塔の上から地上に向かってのびる何本ものロープにはカラフルなフラッグがたくさん吊るされていた。

「迫力ありますね~」
「そうだな」

 二人は昇降機で上まで上がる。

 塔の上は回廊のようになっていて、ぐるりと手すりで囲まれていた。

 珠子が手すりをつかんで身を乗り出すと、晃太郎が慌てて珠子の腕を引いた。