「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 あれが池田様かあ。

 思ったより、感じのいい方だったな、と思いながら、珠子はキョロキョロと会場内を見回していた。

 ウォーターシュートの順番待ちの列を探すためだ。

 だが、晃太郎はそんな珠子を見て、何故か怯えたように、
「池田ならもういないぞっ」
と言い出す。

「でしょうねえ。
 お仕事みたいでしたもんね。

 ところで、最初に乗るの、ウォーターシュートでいいですか?
 もっと列の進みの速いところがあったら、そちらにしましょうか?」

 ともかく、効率よく回って、たくさん乗ったり見たりしたいっ、と珠子は目をキラキラさせて言ったが、晃太郎は珠子の手を握り、

「どっちでもいい!
 お前の好きなのでいい!

 お前の望みなら、なんでも叶えてやるからっ!」
と妙な熱さで語ってきた。

「いやあの、私もどれからでもいいですよ……」

 そんな遠慮されなくても、と珠子は思っていたが、晃太郎が言いたいのは、そういうことではなかった。