「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 ……何故、ここに池田、と思いながら、晃太郎は、
「岩崎じゃないか」
と話しかけてきた池田を見ていた。

 いや、そういえば、池田のところも博覧会に出展している。

 仕事で来たのだろう。

「そちらのお嬢さんは?
 ああ、さては、この人が噂の結婚相手かな?

 さすが、岩崎の選んだ人、素敵な人だね」

 ……いや、お前の妾だよ。

 見たことも会ったこともないだろうが。

 この二人は電話で話したことしかないはずだ。

 しかも、電話の声は雑音が多くてよく聞こえない。

 たぶん、二人とも気づかないだろう、と思う。

 幸い、池田も珠子も自己紹介する前に別れた。