「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「お前に会いにくれば、いつでも読めるじゃないか。
 この店には、他に誰もいないようだが、お前が経営してるのか?」

「いえ、父が――」

 ということになってます、と珠子は言った。

「女がやってるとなると、舐められるので。
 父はいつも仕入れに行っていて、私が店番ということで」

 なるほど、と晃太郎は頷いた。

「ここは、いい客が売り買いしてるんだろうな」
と絶対にこちらには向けないような、好ましげな視線を店内に向けたあとで、

「池田には、たっぷりお前で遊んだと言っておいた」
と言う。

 あなた、たっぷり本を眺めて帰っただけですけど……。

「では、そろそろ店閉めますので」

「それはちょうどいい」
と言われ、珠子は、は? と晃太郎を見る。

「デエトをしよう。
 そのためにお前を雇ったんだ」

 意外にグイグイ来るな、この人。

 仕事もできそうだし。

 有能な人は、こういうことにも有能なのか?
と思ったが、晃太郎はこちらを見て、ハキハキと言ってきた。

「デエトとは、どうすればいいものなのか教えてくれ」