そのあと、三人で座席に戻ると、いろいろと帝都の変化について語った。
「私なんかは、立ち並ぶ洋風建築や馬車や列車を見ながら、ついこの間まで江戸だったのになあ、なんて思うんですよ。
若いお二人にはピンと来ないでしょうが」
いろいろと感慨深いです、と中山は笑う。
「私なんて、人生の半分くらいは江戸でしたからねえ」
――そう言われると、なんだか衝撃的だ。
「田舎に行くと、まだ、そこここに江戸の面影が残っていて。
時が戻ったような気分になりますが。
でもまあ――
江戸も遠くなりましたよね」
と中山はしみじみと語る。
それを聞いて珠子が言った。
「きっと、私たちもいつか思うんでしょうね。
明治というこの時代が終わったあとで――。
明治は遠くなったなあって」
晃太郎も横で頷いている。



