「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 食堂車で友人と出会った中山はそちらの席に移り、ちょっと話していた。

 それを見ながら珠子は呟く。

「やっぱり、嘘はいけないですよね」

 ん? と珈琲を飲んでいた晃太郎が顔を上げた。

「このままでは、晃太郎様にご迷惑をおかけしてしまいそうで。
 私はただの池田家の囲われ者ですのに」

「いや、違うだろう。
 今は俺の――」

「そうですね。
 今は晃太郎さまの……」

 いや、その話の流れだと俺の囲われ者になってしまうのだが……という微妙な顔を晃太郎はしていた。