「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 だが、晃太郎をじっと見ていた老人は、ああ、と微笑み、
「もしや、岩崎晃太郎くんかね?」
と訊いてくる。

 まさかの知り合いっ!

 まずいっ、と珠子は青ざめる。

「ご結婚されていたとは」
と相好を崩し、老人は言う。

「いやあ、もう隠遁生活が長くてね。
 知りませんでしたよ。

 申し訳ない。

 それにしても、あの小さかった晃太郎くんがね」

 どの小さかった晃太郎くんですか、と珠子は怯える。

 相当岩崎家と親しそうだったからだ。

「これは、お祝いを贈らねばなりませんね」
と微笑む老人に、珠子たちは、

 いえ、結構です、と思ってしまう。

 岩崎家にでも贈られたら、
『嫁って誰っ!?』
となるのが目に見えていたからだ。