「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 
 

 珠子は台所に戻ると、薬を作る薬研(やげん)で少量の珈琲豆をゴリゴリと挽き、さらし木綿の小袋にちょっぴり入れると、それを熱した牛乳に入れた。

 ほんのり珈琲の香りがして、牛乳の臭さが少し和らぐ。

 やっぱり、砂糖もちょこっと入れよう。

 砂糖も高い。
 贅沢品だが、まあ、今はそこまで貧乏なわけでもない。

 囲われ者としてのお給金があるからだ。

 ……いや、囲われ者としは、なんの役にも立っていないのだが。

 女性を数人囲っていないと男としてのメンツが立たないとか言うもんな。

 それに貢献しているということで、と見たことも会ったこともないご主人様になにもしていない言い訳をしながら、珠子は温かい珈琲牛乳を飲んだ。