僕の愛しい泥棒娘

宝石は気付かれず現金は公にできない脱税
等で貯めたものなので訴えたりもできない

そんな貴族を狙って侵入していたので現行犯
で見つからない限りそんな盗難があったとは
公表されず手配もされなかった

宝石は解体して石として売る方が足がつかず
安心だったので、ユミアは盗った宝石が溜ま
ると隣国まで言って引き取り屋に
売っていた。

この王都には端の方を流れる大きな河があり
船も航行している。

その船で港まで出て隣国行の船に乗れば、２
日あれば十分余裕で往復できるのだ。

ユミアは5歳の時未曽有の豪雨で、この河が
氾濫した時に両親を失い孤児院に
引き取られたのだ。

ユミアは王都の孤児院に入れて運がよかった
その時にたくさんの孤児があちこちの孤児院
に入れられたのだが、ユミアが引き取られた
王都の孤児院は院長がシスターで、とても良
心的な孤児院だったのだ。

他の領地の孤児院に引き取られた子供達の
中には劣悪な環境の所もあり亡くなったり
ある程度の歳になると逃げだして、悪に手
を染めた子供達も多くいたらしい。

だからユミアは、自分たちの事は後に回して
いつも子供たちの事を優先してくれる優しい
院長やシスターたちに感謝をしている。

そしてユミアは自分を何とか岸に上げて力尽
き流されていく両親を見て何もできず泣き続
けていた時、突然前世の記憶が脳内に流れ込
んできて気を失った。

気が付くと沢山の子供達と一緒に孤児院の粗
末なベッドに寝かされていた。