僕の愛しい泥棒娘

木工部門は200のそろばんを仕上げるのに、
分業制でやることを思いつき、何人もの臨時
の雇い人を集めた。

王宮の財務部へのそろばんの指導はユミアが
助手を連れて行って教える事になった。

アズナール男爵がその条件で仕事を取ってき
たのだ。もちろん指導にもわずかだが指導料
が頂ける。

王都は一時そろばんブームになった。

その波が引くとそろばんは無くてはならない
物になった。

特に計算をしなければならない部門の者には
ありがたい物だったのだ。

だからそれからも、そろばんの制作はずっと
続いて木工部門の主力商品になった。

そんな風にユミアの計画はどんどん形になっ
ていった。

そしてアウスレッドとの付き合いも順調で、
二人は食事に行ったり王都の郊外まで出か
けてピクニックに行ったり観劇を楽しんだ
りしていた。

相変わらずアウスレッドはユミアの料理が大
好きでよく夕食を食べに来るのでサリーナや
店の子達とも仲がいい。

たまにはダイアサール家に招かれて手料理を
振舞う事もある。公爵夫人のメアリーヌ様や
アウスレッドの妹のシャウリーヌ嬢は、スイ
ーツも楽しみにしているのだが、公爵家の皆
が大好物なのは鶏の唐揚げとオムライスだ。

そして第1王子が誕生してから、２年が経ち
国王夫妻にはもう一人王子が生まれた。

国王はアウスレッドに将来は王子達の後見を
するように願った。

ひいては次期宰相として、次代の王の補佐を
アウスレッドに求めているようだ。