僕の愛しい泥棒娘

たいていの貴族の夫婦の部屋は部屋の中から
行き来ができるようになっているので、公爵
夫妻が留守にするときは外から鍵をかけて
いるので中を改められることもない。

ワイナリー家で言えば夫人の部屋は中から
ドレス部屋２部屋と夫婦の寝室に繋がって
いる。

寝室から公爵の部屋に中からも行けるように
なっていて公爵の部屋から書斎に行くドアが
あると言う具合だ。

夫妻が留守の時には、それぞれの部屋と夫婦
の寝室の鍵は外からかけてあるのだ。

勝手口で騒ぎがあったので各部屋を一応見て
回っているようだが、部屋の中までは入って
はこない。

警護の騎士が通り過ぎてからも充分待って
から、窓を開けて出たらきちんと閉めて木を
利用して塀から外の道に飛び降りた。

利用したロープの回収も忘れないように
しなければならない。侵入の痕跡を残して
はいけないからだ。

予定の時間より３０分ほど遅れてしまったが
アウスレッドの待つ空き家に戻ってきた。

アウスレッドは予定の時間が過ぎても、
ユミアが帰ってこないので何かあったのでは
と気が気ではなかった。

部下からは裏口の騒ぎは予定通り酔っ払いが
家を間違って裏口から入ろうとしたと言う
話で予定の１０分後には丸く収まったと言う
報告を受けている。

屋敷内にも変わったことはなかったようだ。

ただ、一応屋敷内の確認だけ警護の騎士が
行ったと言う事だが、それが藪蛇になって
しまったのではないかと気を揉む
アウスレッドだった。