僕の愛しい泥棒娘

幸せは公爵家全体に広がっていった。

公爵様もメアリーヌ様も今では一日のほとん
どをアウスレッド邸に居て孫のアライアスと
ユリアンナの世話を楽しそうに手伝ってくれ
ている。

シャウリーヌはアウスレッドの親友のコベル
トン公爵家のジョナリオの弟とつい先月に婚
約した。

シムソニオも婚約が決まり2ケ月後には結婚
式が行われるのでその準備にメアリーヌ様も
忙しいはずなのに、双子の世話に来てくれる
のだ。

ユミアは初めての育児が双子という事もあり
経験者のメアリーヌ様には頼ってばかりなの
で申し訳ないとも思うが、とても助かってい
る。

乳母も雇ってもらえてユミアは半年で仕事に
復帰する予定でいる。出産前も1ケ月休んで
いるので7ケ月ぶりになるが、サリーヌやミ
リアは2度ほどアライアスとユリアンナに会
いに来てくれている。

二人ともアウスレッドにそっくりな双子を見
て大笑いしていた。アウスレッドのミニチュ
アだと言って楽しそうに双子の相手をして、
お店や孤児院、制作工房の現状の報告もして
帰っていった。

セオドア国の支店からは、モンドから詳しい
報告が月に2回は送られてくる。

セオドア国の輸入品の荷がある時に一緒に報
告書が入っているときもある。

ユミアは家に居て双子の世話をしながらも、
アズナール商会の状況をきちんと把握してい
たのだ。