悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

反論をしてくると思っていなかったのか、驚いた様子のお母さんの横を通り過ぎて足早にパーティー会場を抜け出す。

と言っても、黒岩に車で送って来てもらったため、帰りも黒岩に頼んで車を出してもらわないと帰れない。

パーティーが落ち着いたら家に帰してほしいと黒岩にメールを送り、エントランスのソファに腰掛ける。

透明な窓の向こうには夜の街並みが広がっていて、家の光や車のライトでキラキラと光っていた。


「わがまま姫のくせにやるじゃん」


突然横から話しかけられ驚いて振り向くと、黒い高そうなスーツを着て髪をセンター分けでワックスで固めてセットしている凛太郎がいつの間にか隣に腰掛けていた。

父親が社長の凛太郎がこのパーティーに参加していても何もおかしくはない。

だけどきちんと正装している姿を見るのは初めてで、えらそうな態度はいつもの凛太郎なんだろうけど、一見別人にも見えた。

今だって、凛太郎だと気づくまで少し時間がかかったし。


「…わがまま姫?」

「学校でそう呼ばれてるだろ。何不自由なく暮らしてるのかと思ったけど、両親との仲はあまりうまくいってないんだな」


学校でそんなあだ名がついているなんて初めて知ったし、両親に啖呵を切った場面を同じ学校の人に見られていたなんて気まずい。


「でも喧嘩ができるうちならまだ戻れるだろ。本当に無関心だったら、会話すら生まれないんだぜ?」


まるで実体験かのように悲しそうに笑う凛太郎から顔を逸らす。