悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

「…なんだと?」


周囲にいたお偉いさんたちも私たちのピリッとした空気を感じ取ったのか、ザワザワとし出した。


「怪我をしたのは、腕ではなく頭と肩です。これは最近体育の授業で負傷したものです。娘の正確な怪我の詳細も知らないくせに、心配したフリをなさるのはどうかと思います」


笑顔を浮かべたまま、驚いたように目を見開いているお父さんに少しだけスッキリとする。

乃愛も、言いたいことを呑み込まずにこうやって人目を気にせずにぶつけていたら、少しは救われていたのかな。


「あ、今日は創立記念日でしたっけ?おめでとうございます。今度は顔を忘れる前にもう一度お会いできると嬉しいです」


ぺこりと軽く会釈をして、お父さんに背を向けて人混みから抜け出す。

はースッキリした。

お父さんも黒岩も、すごく驚いた顔をしていたな。

でもこれでよくわかった。

本当に、お父さんは乃愛のことなんてこれっぽっちも気にかけてくれていないんだ。


「どこに行くの?」


俯けていた顔をハッと上げると、どこかのモデルかというくらいスタイルがよく顔が整っている美人が目の前に立っていて、私を冷ややかな視線で見下ろしていた。