悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

「乃愛お嬢様、どうぞ中にお入りください」


扉を開けてくれた黒岩に続いて中に入る。

想像していたよりもずっと煌びやかな会場全体の空気に、思わず圧倒されてしまう。

見るからに高級そうな料理を横目に前に進んでいくと、人混みの真ん中にお父さんがいた。


「乃愛、久しぶりだな。来てくれたのか」


乃愛と似ている目力の強いキリッとした瞳のお父さんが、私に向かってそばに来るようにと手招きをしてきた。

“来てくれたのか”って、あんたが黒岩に命令して私を呼びつけたんでしょうが。

と心の中でため息をつきながら、お父さんのそばに歩いていく。


「怪我をしたと聞いたが、その後は大丈夫なのか?腕はまだ痛むか?」


心配なんてしていないだろうに、お父さんは私の腕に貼られている湿布を指差してきた。

その腕をギュッと握りしめながら、にこりと笑みを浮かべる。


「ご心配なく。そもそも心配もしていないでしょうに」