悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!

乃愛となってしまった今も、今までの私とは変わらず友達を作ろうとしていなかった。

それは、乃愛のそばにいたいと思ってくれる人は、この世界にはいないから。

無駄だとわかっていながら、わざわざ物語に反してまで行動しようとは思わなかったから。


「…私は、無理だよ。そういう運命なの」

「運命なんて、誰が決めたんですか?たとえ決められた運命があったとしても、そこからどんな結末にするかは自分次第だと思います」


さっきまでカツアゲされていた気弱男子なのが嘘かのように、メガネ男子は私を真っ直ぐに見つめてきた。

メガネを外しているその顔は、どこかで見た顔と少し似ているような…。


「なんて、僕もお兄ちゃんの受け売りなんですけどね。いつだって僕は失敗する結末しか迎えられないし…」

「…大丈夫なんじゃない?私に啖呵切ってきたみたいに、さっきのあいつにもビシッと言いなよ。あんたは自分の気持ちを言葉にできないんじゃなくて、しないだけ。やろうと思えばできんじゃん。この世界のヒーローにだってなれるよ」

「え…」


メガネ男子にふいっと背を向けて、来た道を戻る。


余計な寄り道をしてしまった。

たしかに、運命は変えられるのかもしれない。

私にまとわりついてくる宙と光莉のように、物語が少しだけ変わっているように。

…だけど、この運命を作ったのも、結末を作ったのも、全部私自身なんだ。