目覚まし時計に脅かされるようにして目を覚ました晶子は台所へ向かった。 「さてと、朝食を作らなきゃ、、、。」
現在6時半。 彼女は時計と睨めっこしながら食事を作っている。
「8時の新幹線で東京に行かないといけないしなあ、、、。 会議が終わったら夕方には横浜に移動だ。」 今日も彼女の日程表はぎっしりと予定が詰まっている。
点字図書館に勤めて25年。 気付いたら彼女もおばさんの一人になっていた。
アニメキャラのような話し方で秘かに人気の彼女だったが今では全国を飛び回るキャリアウーマンなのである。 食事を作り終えると旦那と子供たちを叩き起こしてから玄関を出る。
バタバタと函館駅に飛び込むとそこから函館ライナーが停車している乗り場まで猛ダッシュ。 息を切らしながら飛び込むと椅子に座ってメモを確認。
動き出した車内で思わず寝そうになった晶子はエナジードリンクをキュッと喉に流し込んで目を覚まさせるのである。 「新幹線の中ならゆっくりと寝れそうだから何とか、、、。」
昨夜も図書館の仕事を8時までに終わらせてそれからやっと風呂に飛び込んで洗ったかと思ったらもう出てきて布団にまっしぐら。
図書館行脚に出る前の日はいつもこうなのである。 旦那は「たまにはゆっくりしろよ。」って言ってくれるけどそうゆっくりもしてられない。
全国的な問題として朗読 点訳のボランティアが減ってきている今、「これだ!」って思えるような打開策を打ち出さなければ、、、。
ここ函館でもその悩みは深刻なのである。 もちろんAI技術が進歩してきてるからこの先は楽になるんだろうけど、だからといって全てをAIに頼り切るのも何か変。
人工音声よりは人の生の声を聴いたほうが絶対にいいはず。 そう思うからこそ彼女は朗読ボランティアの育成にも努めてきた。
それでもなかなかボランティアは増えないんだ。 どうしたらいいんだろうか?
そんなことを回想しながら新函館北斗駅に滑り込んだ函館ライナーを飛び出す。 ここからは新幹線へ一直線だあ。
北海道新幹線は2014年に営業を始めたばかり。 まだまだ10年そこそこ。
青函トンネルは1982年に開通して以来、たくさんの人と貨物を運んできた。
まさか、そのトンネルを新幹線で潜ることになろうとは、、、。 晶子ももう何度この新幹線に乗っただろうか?
全席指定のハヤブサは何となく気に入っている列車である。 盛岡に着くとその前にコマチをくっ付けて東京まで走るんだ。
昔、体操で有名だった人、、、それはコマネチ。 ここでは関係無い話だ。
ハヤブサにはグランクロスが有る。 グリーン車とでも呼べばいいのかな? もちろん、そんな車両に乗れるわけも無く晶子は他の乗客と同じく指定席に座っている。
「次の停車駅は木古内。」 朝夕の数少ない列車がここに留まる。 いつかは留まらなくなるんだろうな。
木古内駅を過ぎると在来線 道南漁火鉄道の線路が合流してくる。 珍しい3本線の区間が始まるんだ。
知内町を過ぎるといよいよ青函トンネルに吸い込まれていく。 貨物列車だって120キロほどで爆走する新幹線区間である。
今でも旧吉岡海底駅と旧竜飛海底駅の跡は残されている。 降りたことは無いけどなあ。
53,85キロのトンネルを過ぎると奥津軽今別駅である。 ここまではjr北海道何だってね。
この辺りから貨物線は分離して新幹線は高架に登っていく。 そして新青森へ。
ここからは東北新幹線だ。 駅とトンネルがずらっと並んでいる。
新青森の次は八戸。 魚が美味しいらしい。
一度くらいはのんびりと東北を巡って美味しい物を食べ歩きたいもんだなあ。 でもなんか太りそう。
東北と言えばお酒は秋田。 秋田は飽きた。
変なことを言ってないで車窓をのんびりと眺めてましょうか。 でもトンネルばかり。
チラッと何か見えたなと思ったらすぐトンネルだもんなあ。 もしかして豚寝る?
八甲田山とか十和田湖とか有名所を通り過ぎるのよ。 少しくらいは拝ませてよね。
飛行機のほうがいいかな? でも落ちると怖いしなあ。
そんなことを考えながら盛岡にまでやってきました。 今、11時くらいです。
あと2時間少しで東京に着くのね? はーーあ、窓の外は面白くないしお菓子も食べ飽きたし寝てましょうか。
でもさあ、こないだは涎垂らして寝てたからなあ。 隣は誰も居ないからいいけど、、、。
コマチは7両なんです。 それに対してハヤブサは10両なんです。
盛岡駅で別れたコマチは高架を下りて田沢湖線を爆走します。 雫石とか角館とか回って行くのよね。
そして大曲で進行方向が変わってゴール! ほんとに大曲りするのねえ。
なんてくだらないことは言ってないで一休みしましょう。 愛マスクを掛けてお休みーーー。
え? 誰に愛されてるのって? もちろんパパよ。
フッと目を覚ましたらまだまだ仙台だった。 時間はまだ有るわね。
次は郡山。 そこを過ぎたら大宮ね。
有名?な鉄道博物館が有る所よねえ?
その頃、函館の点字図書館では、、、? 「今日もリクエストがたーーーーーくさん来てるなあ。」
パソコンを開いた紀子は溜息を吐きながらそれを一つずつ確認するのであります。 確認し終わると物によっては所蔵している図書館へリクエストを投げます。
時には音声データのダウンロードが出来るのでsdカードを取り出してチョコチョコとダウンロードします。 ある程度まとまったらそれを希望者に郵送します。
昔は電話でリクエストを受け付けて所蔵館からcdを借り受けて転送したものです。
ネットが発達したおかげでずいぶんと楽になりました。 確認は大変ですけどね。
サピエ図書館が運営を始めてからというもの、全国からのリクエストに応えられるようになりました。 大変な物も有りますけど、、、。
図書館が借り受けてsdカードに放り込んで利用者に送るタイプの物ならいいんです。 中にはcdそのものを貸し出している図書館が在りまして、、、。
データ不良なんかやってくれたら大変なんですよ。 バックアップできないって文句を言われるのは私たちなんです。
そうなると大変だから同じタイトルでデータをダウンロードできる図書館を探します。 そしてデータをダウンロードしてから利用者さんに送るわけです。
cdは気付かないうちにデータが劣化しますからねえ。 怖いですよーーーー。
「晶子さんは今頃どの辺だろうなあ?」 館長の森山美幸も興味津々です。
「gpsでも付いてたら分かるんですけどねえ。」 「逃走してる犯人みたいねえ。」
「うーん、今頃は仙台くらいかな。」 「まだ仙台か。」
晶子は変化の無い車窓をボーっと眺めながら物思いに耽ってます。 時々、ガラスに頭をぶつけてハッとしながら、、、。
仙台から郡山へ、そして那須塩原を越えて埼玉県に入ってきました。 上越新幹線が擦れ違っていきましたねえ。
この辺りに来ると(都会に近付いてるんだなあ。)っていう気が嫌でもしてきます。 常磐線だの高崎線だの京浜東北線だの、いろんな線路が絡まってくるから。
だって普段は市電か函館本線の線路しか見てないんだもん。 慣れてきたからいいけど最初は大変だったわよ。
ホームに出ても何処が何処やらさっぱり分からなかったんだから。 一日迷子になるかと思ったわよ。
おまけに自動改札じゃないんだしさあ、函館じゃあ駅員が切符を貰ってるのよ。 改札だって焦ったわよ。
改札を出たら東京の点字図書館の人が迎えに来てくれてたから助かったけど、、、。 食事がこれまた大変で、、、。
ホテルに泊まってレストランで食事をしたけど、その時に飲んだ水が合わなかったのねえ。 お腹を壊しちゃって、、、。
朝まで我慢して正露丸を買いに行ったわ。 以来、コンビニで水を買うようにしてる。
またやると大変だからねえ。 さあ着いたぞーーーー。
東京駅は地下ホームに留まるんですねえ。 ここから上に上がって、、、。
山手線に乗り換えて高田馬場へ、、、。 今日の会議は4時半からなんですよ。
終わったら仲良しと食べに行く約束をしてます。 今夜はお寿司何だって。
現在6時半。 彼女は時計と睨めっこしながら食事を作っている。
「8時の新幹線で東京に行かないといけないしなあ、、、。 会議が終わったら夕方には横浜に移動だ。」 今日も彼女の日程表はぎっしりと予定が詰まっている。
点字図書館に勤めて25年。 気付いたら彼女もおばさんの一人になっていた。
アニメキャラのような話し方で秘かに人気の彼女だったが今では全国を飛び回るキャリアウーマンなのである。 食事を作り終えると旦那と子供たちを叩き起こしてから玄関を出る。
バタバタと函館駅に飛び込むとそこから函館ライナーが停車している乗り場まで猛ダッシュ。 息を切らしながら飛び込むと椅子に座ってメモを確認。
動き出した車内で思わず寝そうになった晶子はエナジードリンクをキュッと喉に流し込んで目を覚まさせるのである。 「新幹線の中ならゆっくりと寝れそうだから何とか、、、。」
昨夜も図書館の仕事を8時までに終わらせてそれからやっと風呂に飛び込んで洗ったかと思ったらもう出てきて布団にまっしぐら。
図書館行脚に出る前の日はいつもこうなのである。 旦那は「たまにはゆっくりしろよ。」って言ってくれるけどそうゆっくりもしてられない。
全国的な問題として朗読 点訳のボランティアが減ってきている今、「これだ!」って思えるような打開策を打ち出さなければ、、、。
ここ函館でもその悩みは深刻なのである。 もちろんAI技術が進歩してきてるからこの先は楽になるんだろうけど、だからといって全てをAIに頼り切るのも何か変。
人工音声よりは人の生の声を聴いたほうが絶対にいいはず。 そう思うからこそ彼女は朗読ボランティアの育成にも努めてきた。
それでもなかなかボランティアは増えないんだ。 どうしたらいいんだろうか?
そんなことを回想しながら新函館北斗駅に滑り込んだ函館ライナーを飛び出す。 ここからは新幹線へ一直線だあ。
北海道新幹線は2014年に営業を始めたばかり。 まだまだ10年そこそこ。
青函トンネルは1982年に開通して以来、たくさんの人と貨物を運んできた。
まさか、そのトンネルを新幹線で潜ることになろうとは、、、。 晶子ももう何度この新幹線に乗っただろうか?
全席指定のハヤブサは何となく気に入っている列車である。 盛岡に着くとその前にコマチをくっ付けて東京まで走るんだ。
昔、体操で有名だった人、、、それはコマネチ。 ここでは関係無い話だ。
ハヤブサにはグランクロスが有る。 グリーン車とでも呼べばいいのかな? もちろん、そんな車両に乗れるわけも無く晶子は他の乗客と同じく指定席に座っている。
「次の停車駅は木古内。」 朝夕の数少ない列車がここに留まる。 いつかは留まらなくなるんだろうな。
木古内駅を過ぎると在来線 道南漁火鉄道の線路が合流してくる。 珍しい3本線の区間が始まるんだ。
知内町を過ぎるといよいよ青函トンネルに吸い込まれていく。 貨物列車だって120キロほどで爆走する新幹線区間である。
今でも旧吉岡海底駅と旧竜飛海底駅の跡は残されている。 降りたことは無いけどなあ。
53,85キロのトンネルを過ぎると奥津軽今別駅である。 ここまではjr北海道何だってね。
この辺りから貨物線は分離して新幹線は高架に登っていく。 そして新青森へ。
ここからは東北新幹線だ。 駅とトンネルがずらっと並んでいる。
新青森の次は八戸。 魚が美味しいらしい。
一度くらいはのんびりと東北を巡って美味しい物を食べ歩きたいもんだなあ。 でもなんか太りそう。
東北と言えばお酒は秋田。 秋田は飽きた。
変なことを言ってないで車窓をのんびりと眺めてましょうか。 でもトンネルばかり。
チラッと何か見えたなと思ったらすぐトンネルだもんなあ。 もしかして豚寝る?
八甲田山とか十和田湖とか有名所を通り過ぎるのよ。 少しくらいは拝ませてよね。
飛行機のほうがいいかな? でも落ちると怖いしなあ。
そんなことを考えながら盛岡にまでやってきました。 今、11時くらいです。
あと2時間少しで東京に着くのね? はーーあ、窓の外は面白くないしお菓子も食べ飽きたし寝てましょうか。
でもさあ、こないだは涎垂らして寝てたからなあ。 隣は誰も居ないからいいけど、、、。
コマチは7両なんです。 それに対してハヤブサは10両なんです。
盛岡駅で別れたコマチは高架を下りて田沢湖線を爆走します。 雫石とか角館とか回って行くのよね。
そして大曲で進行方向が変わってゴール! ほんとに大曲りするのねえ。
なんてくだらないことは言ってないで一休みしましょう。 愛マスクを掛けてお休みーーー。
え? 誰に愛されてるのって? もちろんパパよ。
フッと目を覚ましたらまだまだ仙台だった。 時間はまだ有るわね。
次は郡山。 そこを過ぎたら大宮ね。
有名?な鉄道博物館が有る所よねえ?
その頃、函館の点字図書館では、、、? 「今日もリクエストがたーーーーーくさん来てるなあ。」
パソコンを開いた紀子は溜息を吐きながらそれを一つずつ確認するのであります。 確認し終わると物によっては所蔵している図書館へリクエストを投げます。
時には音声データのダウンロードが出来るのでsdカードを取り出してチョコチョコとダウンロードします。 ある程度まとまったらそれを希望者に郵送します。
昔は電話でリクエストを受け付けて所蔵館からcdを借り受けて転送したものです。
ネットが発達したおかげでずいぶんと楽になりました。 確認は大変ですけどね。
サピエ図書館が運営を始めてからというもの、全国からのリクエストに応えられるようになりました。 大変な物も有りますけど、、、。
図書館が借り受けてsdカードに放り込んで利用者に送るタイプの物ならいいんです。 中にはcdそのものを貸し出している図書館が在りまして、、、。
データ不良なんかやってくれたら大変なんですよ。 バックアップできないって文句を言われるのは私たちなんです。
そうなると大変だから同じタイトルでデータをダウンロードできる図書館を探します。 そしてデータをダウンロードしてから利用者さんに送るわけです。
cdは気付かないうちにデータが劣化しますからねえ。 怖いですよーーーー。
「晶子さんは今頃どの辺だろうなあ?」 館長の森山美幸も興味津々です。
「gpsでも付いてたら分かるんですけどねえ。」 「逃走してる犯人みたいねえ。」
「うーん、今頃は仙台くらいかな。」 「まだ仙台か。」
晶子は変化の無い車窓をボーっと眺めながら物思いに耽ってます。 時々、ガラスに頭をぶつけてハッとしながら、、、。
仙台から郡山へ、そして那須塩原を越えて埼玉県に入ってきました。 上越新幹線が擦れ違っていきましたねえ。
この辺りに来ると(都会に近付いてるんだなあ。)っていう気が嫌でもしてきます。 常磐線だの高崎線だの京浜東北線だの、いろんな線路が絡まってくるから。
だって普段は市電か函館本線の線路しか見てないんだもん。 慣れてきたからいいけど最初は大変だったわよ。
ホームに出ても何処が何処やらさっぱり分からなかったんだから。 一日迷子になるかと思ったわよ。
おまけに自動改札じゃないんだしさあ、函館じゃあ駅員が切符を貰ってるのよ。 改札だって焦ったわよ。
改札を出たら東京の点字図書館の人が迎えに来てくれてたから助かったけど、、、。 食事がこれまた大変で、、、。
ホテルに泊まってレストランで食事をしたけど、その時に飲んだ水が合わなかったのねえ。 お腹を壊しちゃって、、、。
朝まで我慢して正露丸を買いに行ったわ。 以来、コンビニで水を買うようにしてる。
またやると大変だからねえ。 さあ着いたぞーーーー。
東京駅は地下ホームに留まるんですねえ。 ここから上に上がって、、、。
山手線に乗り換えて高田馬場へ、、、。 今日の会議は4時半からなんですよ。
終わったら仲良しと食べに行く約束をしてます。 今夜はお寿司何だって。



