男の人と肩を並べて町を歩く。
こんな経験も生まれて初めてだ。
しかもそれが、あのギルバートとなんて。
緊張は残りつつ、浮かれる気持ちは隠せない。
(これはあくまで視察なんだから……)
変装をしているから、次代竜王であるギルバートが城下町にいることに誰も気づいていないようだ。
しかしその美しさは隠せないようで、すれ違う女性がギルバートのことを振り返る。
その横顔を見上げれば、目が合って。
「どうした?」
その声があまりに優しいから、きゅうっと心臓が痛くなった。
決して手の届くことのない存在だと思っていた。
(だけど今は―――いつもよりこの人を近くに感じる)
それは突然のことだった。
曲がり角から飛び出してきた何かが、カノンにぶつかってきたのだ。
「カノン!」
よろめきそうになった体を、ギルバートが支えてくれる。
改めてぶつかってきた何かを確かめる。その正体はまだ幼い子どもだった。
子どもはぶつかった反動でひっくり返るように尻もちをついている。
その手に握られていたらしいアイスは、今はべったりとカノンの衣服を汚していた。
何が起きたか理解できずにカノンたちを見上げていた子どもの瞳に、涙が溜まっていく。
そして次の瞬間、わっと声を上げて泣き始めた。
恐らく買ったばかりのアイスだったのだろう。
子どもの視線はカノンの衣服についたアイスに向けられていた。
食べることのできなくなったことを理解して、更に泣き声が大きくなる。
(近くにお店は……あった!)
辺りを見渡し、子どもが駆けてきた曲がり角の奥に目的のお店があることを確認して、カノンは走り出す。
こんな経験も生まれて初めてだ。
しかもそれが、あのギルバートとなんて。
緊張は残りつつ、浮かれる気持ちは隠せない。
(これはあくまで視察なんだから……)
変装をしているから、次代竜王であるギルバートが城下町にいることに誰も気づいていないようだ。
しかしその美しさは隠せないようで、すれ違う女性がギルバートのことを振り返る。
その横顔を見上げれば、目が合って。
「どうした?」
その声があまりに優しいから、きゅうっと心臓が痛くなった。
決して手の届くことのない存在だと思っていた。
(だけど今は―――いつもよりこの人を近くに感じる)
それは突然のことだった。
曲がり角から飛び出してきた何かが、カノンにぶつかってきたのだ。
「カノン!」
よろめきそうになった体を、ギルバートが支えてくれる。
改めてぶつかってきた何かを確かめる。その正体はまだ幼い子どもだった。
子どもはぶつかった反動でひっくり返るように尻もちをついている。
その手に握られていたらしいアイスは、今はべったりとカノンの衣服を汚していた。
何が起きたか理解できずにカノンたちを見上げていた子どもの瞳に、涙が溜まっていく。
そして次の瞬間、わっと声を上げて泣き始めた。
恐らく買ったばかりのアイスだったのだろう。
子どもの視線はカノンの衣服についたアイスに向けられていた。
食べることのできなくなったことを理解して、更に泣き声が大きくなる。
(近くにお店は……あった!)
辺りを見渡し、子どもが駆けてきた曲がり角の奥に目的のお店があることを確認して、カノンは走り出す。

