ギルバートは地方の街の視察に赴いているため、先日から城を留守にしていた。
1人で過ごす休憩時間は、何だか心寂しく感じて。
贅沢なったものだと、カノンは心の中で苦笑いする。
いつものようにニアや他の侍女たちと仕事をして、いつものように過ぎていく。
そう思っていた時、事件は起きた。
それは突然のことだった。
空気中の瘴気濃度が、急速に上がり始めたのだ。
つい先程までは、淀みもなく澄んでいたはずの空間。
瘴気の勢いは止まることを知らず、禍々しい黒が一面を染めていく。
「一体何なの、これ……!?」
「瘴気……!?」
異変に気づき、広がる喧騒と動揺。
歌姫の存在もあって、普通なら瘴気がこんな風に大量発生するなんてあり得ない。
明らかな異常自体だった。
「……っ」
(ニア……!)
そばにいたニアが、押し殺した声と共に膝をつく。
カノンは慌ててその身体を支える。
ニアの顔は、苦しそうに歪んでいて。
(そうだ、竜人にとって……この瘴気は毒になる)
「うう……」
「もうだめ、息が……」
他の侍女たちも同じように苦しみ始めた。
(このままじゃ、みんなが……)
焦りを滲ませたカノンの元に、聞こえてくる歌声。
それはルーシーによるものだった。
1人で過ごす休憩時間は、何だか心寂しく感じて。
贅沢なったものだと、カノンは心の中で苦笑いする。
いつものようにニアや他の侍女たちと仕事をして、いつものように過ぎていく。
そう思っていた時、事件は起きた。
それは突然のことだった。
空気中の瘴気濃度が、急速に上がり始めたのだ。
つい先程までは、淀みもなく澄んでいたはずの空間。
瘴気の勢いは止まることを知らず、禍々しい黒が一面を染めていく。
「一体何なの、これ……!?」
「瘴気……!?」
異変に気づき、広がる喧騒と動揺。
歌姫の存在もあって、普通なら瘴気がこんな風に大量発生するなんてあり得ない。
明らかな異常自体だった。
「……っ」
(ニア……!)
そばにいたニアが、押し殺した声と共に膝をつく。
カノンは慌ててその身体を支える。
ニアの顔は、苦しそうに歪んでいて。
(そうだ、竜人にとって……この瘴気は毒になる)
「うう……」
「もうだめ、息が……」
他の侍女たちも同じように苦しみ始めた。
(このままじゃ、みんなが……)
焦りを滲ませたカノンの元に、聞こえてくる歌声。
それはルーシーによるものだった。

