「とりあえずサ、迷ってるんならもう一度ちゃんと話し合って決めてからも遅くないぜ?まだ四週だ。今すぐ中絶しないと無理ってわけでもねーんだし」

ズコココ…と盛大に音を立ててストローでカフェラテを飲み干し藤堂 天真は言った。

この男、変人だけどたまに言うことまともなんだよね。

「私もそう思う。何ならもう一度由佳に会って話聞いてみるから。女同士だとその辺喋りやすいだろうし」と加納くんに提案すると加納くんは泣きそうに瞳を揺らし

「彩未さんにそこまでお願いすることは…」と最初渋ってたものの

「何言ってるの。由佳は大事な友達だよ。私は加納くんと由佳の仲を応援してるから。二人がベストな答えを考えよう」と私がさらに言うと加納くんは嗚咽をもらして泣き出した。

加納くん……加納くんだって辛い筈だよね。
私は肩を震わせて泣いている加納くんの肩に思わず手を伸ばすと、またあの藤堂 天真が私の手を掴んでその行動を阻んだ。

「何なんです、さっきからあなた。てかそもそも何であなたがここに?」

「俺?俺は夕飯の買い出しに出かけてきたら見慣れた車がここに入っていくのを見たから」

だから後を尾けきたっていうの!?

まぁこの似非臭い医師に説得されて加納くんが一度考えなおしてくれたのは良かったっちゃ良かったけど。

「私、明日店が定休日だから由佳の所行ってみる。それで話聞くから」と加納くんに提案すると加納くんはまるで子ウサギのように目を麗せて

「由佳のこと、お願いします」
と頭を下げた。