「だから……それ以上、可愛くなんないで」
悠月の薄紫色の瞳に、真っ赤な顔をしたわたしが映りこんでいる。
こくりと頷けば、満足そうに笑った悠月は離れていった。
(もう、悠月までどうしちゃったんだろ? 心臓がもたないよ……!)
わたしは、手のひらでぱたぱたと扇ぐ仕草をする。
熱くなった顔の熱を冷ますのに必死だった。
――だからね、全然気づかなかったんだ。
わたしたちを陰から見ていた女子生徒がいたことに。
その女子生徒の身体から、悪意に満ちた真っ黒な影が、溢れ出ていたことに。
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