「……紗南、怪我とかはしてないわけ?」
「うん、全然大丈夫だよ」
心配そうな顔をしている悠月に笑って答えていれば、近づいてきた有栖さんが、掴まれてボサボサになった髪を整えてくれる。
「もう、女の子が無茶しちゃだめって言ったじゃん。……って、あれ?」
頬っぺたをぷくりと膨らませて可愛らしく怒っていた有栖さんに、突然、わたしのかけている眼鏡を外されてしまう。
「もしかして紗南ちゃんのかけてる眼鏡って、伊達メガネ?」
「はい、そうですよ」
「やっぱり。っていうか紗南ちゃんってさ……」
眼鏡を外したわたしの顔を、有栖さんはまじまじと見つめてくる。
「眼鏡してても可愛いとは思ってたけど、外してる方がもーっと可愛いじゃん!」
「え? ……いえ、そんなことないと思いますけど……」
(眼鏡をしていないだけで、そんなに変わるものかな?)
不思議に思っていれば、顔を覗きこんできた潤さんも、驚いたように目を丸くしている。
「ほんとだ。紗南ちゃん、伊達ならさ、眼鏡は外してもいいんじゃない?」
潤さんまでそんなことを言ってくる。
この眼鏡、“きらアイ”ヒロインのカノンちゃんと同じだから、けっこう気に入ってるんだけどな……。



