「――とりあえず、話しておくことはこれくらいですかね?」
一通りの説明も終わった。
今後、学園内で歌を歌う時には、なるべくわたしか悠月が一緒の時にお願いすることにしたんだ。
また襲われた時に、すぐに対処できるようにね。
「それじゃあ今度は、アイドルとしての話をしよっか」
そして今度は、潤さんが話し始めた。
悠月が新メンバーとして加入することになったから、短めの時間で、お披露目ライブをするらしい。
ライブは一週間後にする予定で、歌う曲は二曲だから、それまでに練習するんだって。
「そうだ。それから、紗南ちゃんたちに伝えておかなくちゃいけないことがもう一つあるんだけど……」
少しだけ声を潜めた潤さんは、固い表情で話し始める。
「ここ最近の話なんだけどね、何ていうか……少し、過激なファンの子がいるみたいなんだ」
そう言った潤さんが取りだしたのは、何通かの封筒だった。
中を見せてもらえば、そこには便箋と、meteor(メテオ)のメンバーが映った写真が入っている。
だけどその写真のどれもが、あきらかに隠し撮りだと分かるものだった。
だって、カメラ目線のものが一枚もないんだもん。
そして手紙には、meteor(メテオ)に対する熱い思いがびっしりと記されている。



