お父さんも、表向きは神社の宮司をしているけど、裏では陰陽師として妖怪退治なんかをしているんだ。
ちなみに宮司っていうのは、神社で働いている人たちの中で、一番えらい人のことを言うんだよ。
娘であるわたしも、その陰陽師の力を引き継いでいるんだって。
だから、妖怪なんかの姿もばっちり見えちゃうんだ。
小さいころは、すっごく怖かったけど……もうすっかり慣れちゃった。
血どろみで恐ろしい形相をしていたり、危険な妖怪もたくさんいるから、怖いなって気持ちが完全になくなったわけじゃないんだけどね。
わたしは普通の人よりも陰陽師の力が強いらしくて、お父さんのお手伝いで妖怪退治に行ったこともあるんだよ。
今回は、鶯花咲学園で起きている怪奇現象を何とかしてほしいっていう依頼みたい。
だけど、それが中々の強敵みたいで、解決するのにすごく時間がかかりそうなんだって。
だから、中学生であるわたしに、こっそり学園に潜入してほしいみたいなんだけど……。
わたしはこの春、中学生になったばかりだ。
せっかく新しい友達だってできたし、正直、転校なんてめんどうだなって思っちゃう。
だから、できたら断りたいんだけど……お父さんも学園の先生も中々引いてくれなくて、困ってるんだ。



