「紗南ちゃん、今のって……」


その光景をばっちり見ていたらしい星穏さんは、目を丸くして驚いている。

――どうしよう。見られちゃったからには、わたしが陰陽師の末裔だってことを説明しなくちゃいけないけど、話が長くなっちゃいそうだし……。


「……ごめんなさい、くわしいことは、後できちんと話します。とりあえず今は時間もないと思うので、ミーティングに行ってください」


わたしと話していたせいで、残りのお昼休みの時間もかなり短くなっちゃっただろうし。
潤さんたちにケガのことを話して、放課後のライブにむけて、話し合いもきちんとしてもらわないとだしね。


「……せやな。またライブが終わったら、くわしく聞かせてもらうわ」


そう言った星穏さんは、くるりと背を向けて走っていった。


(はぁ、あとで何て説明しよう。陰陽師の存在についてはあまり公にしちゃいけないことになってるから、秘密にしてもらわないとだし……星穏さん、さっきのを見てどう思ったかな。きっと怖がらせちゃった、よね)


あとでのことを考えて憂鬱になっていれば、遠ざかっていた星穏さんが、突然足を止めて振り返った。