「ぷっ、焦り過ぎだよ」
「だ、だって、わたしなんかが元宮さんと連絡先を交換するなんて、恐れ多いっていうか……!」
「うーん、普通のファンの女の子なら、喜んでくれる場面だと思うんだけどなぁ」
「だって元宮さんは、meteor(メテオ)のメンバーなんですよ? そんな、一ファンのわたしが、軽々しく連絡先を知っちゃっていいのかなって、心配にもなりますよ……!」
ぶんぶん首を横に振っていれば、元宮さんはおもしろそうに目を細めた。
「何ていうか……小戸森さんって、やっぱり変わってるよね」
「えっ、そうですか?」
「うん。でも俺は、そういう子は嫌いじゃないんだ。むしろ……」
元宮さんが、顔を近づけてきた。
そして、耳元でささやかれる。
「興味がわいてきたよ。紗南ちゃんのこと、もっと知りたくなっちゃったな」
「っ、な、今、名前で……!?」
耳元をおさえて顔を上げれば、そこにいる元宮さんは口角をあげて、ちょっぴり意地悪な顔で笑っている。
わたしはその表情を目に映した瞬間、ものすごい衝撃をうけた。



