「悠月くんが、アイドルに興味ないんは分かったんやけどな? それじゃあ悠月くんは、誰のために歌おうと思う?」
「……誰のために?」
「そうや。ステージでパフォーマンスを披露する時、その姿を誰に見てほしいと思う?」
星穏さんからの質問で、悠月の目が、わたしに向けられた。
「おれは……紗南に、見ていてほしい」
真っ直ぐな目で見つめられて、ドキッとしちゃった。
悠月ってば、最近なんか変じゃない?
つい最近までは、もっとそっけない感じだったのに……急にどうしたんだろう。
「せやな。でも、アイドルとしてステージに立つってことは、紗南ちゃんだけやなくて、他のファンの子たちにも同じように、アイドルとしての姿を見せなくちゃならん。それは理解できるよな?」
「……まぁ」
「なら、大丈夫や。おれな、悠月くんはいいアイドルになれると思うんよ。おれの勘はよう当たるからな!」
星穏さんは、悠月の頭をポンッとなでた。
そして太陽みたいにまぶしい笑みを浮かべる。
星穏さんの笑顔を真正面から見た悠月はきょとんとしていたけど、すぐにフイッと視線をそらした。



