「あの……本当にごめんなさい!」

「チッ。ごめんなさいで済んだら、警察はいらねーんだよ! クリーニング代、きっちり払ってもらうかなら!」


大きな声で怒鳴られちゃって、反射で身体が震える。
周りの人たちも、わたしたちを見ながらコソコソ話しているのが分かる。
すると、わたしの胸ポケットが、小さくふるえた。


(あぁ、出てきちゃだめだって……!)


頭を下げた状態で、胸ポケットにいる“相棒”に心の中で念を送っていれば、誰かの手が、わたしの頭にポンッとのせられた。


「ちょお待ち。その子、怖がってるやん。そーんなに目つりあげて怒らんでもいいんやないの?」


関西弁、かな? 朗らかで、すごく優しそうな声だ。

おそるおそる顔を上げれば、すぐそばに、わたしと同い年か、少し年上くらいに見える男の子が立っていた。
黒いキャップをかぶっている男の子は、明るい金色のオシャレなマッシュヘアで、顔立ちがすごく整っている。

“きらめき! アイドルプロデュース☆”に出てくる、アイドルの男の子たちが現実世界に飛び出してきたみたい。
そう思えちゃうくらい、すごくカッコいい。