(あー、もう! 悠月ってば、本当に何考えてるのよ……!)
人混みをかきわけてステージのすぐそばまで近寄ったわたしは、悠月に下りてくるよう声をかけようとした。
――だけど、悠月をまとう雰囲気が変わったのが分かって、わたしは声をかけるのをやめた。
それはmeteor(メテオ)のメンバーにも伝わったみたいで、三人とも黙って悠月を見つめている。
悠月は、踊り始める。
それは、さっきmeteor(メテオ)が歌って踊っていた曲の振り付けと同じだ。
すごく軽やかなステップ。手足の動きは大胆でキレがあるのに、リズムに合わせてしっかりと緩急も感じられる。
更に、元々のmeteor(メテオ)の振り付けにアレンジまで加えている。
目が離せないような、圧倒的な“魅せる”力があるそのダンスに、私の胸もドキドキしてくる。
悠月ってば、あんなにダンスが上手かったんだ。
「すっげー! アイツ、さっきのダンス完コピしてんじゃん!」
「もしかしてmeteor(メテオ)のファンなのかな? っていうか、よく見たらすっごくイケメンじゃない?」
そして最後は、バク転をして綺麗に着地してみせた。
悠月のアクロバットなダンスをみた観客席は、ざわめいている。



