「アイドルだから推しになったってわけではないよ? でもまぁ、歌もダンスも上手な男の子は、純粋にカッコイイなって思うよね」

「ふーん」


そんなことを悠月と話している間に、新メンバー加入に名乗りをあげた男子生徒が何人かいたみたい。
ステージでダンスや歌を披露しているけど、正直、あんまりパッとしないっていうか……。
meteor(メテオ)のメンバーみたいな、きらきらさは感じない。緊張しているんだろうなってことが、すごく伝わってくる。


「紗南」

「え、何?」

「おれのこと、ちゃんと見てて」


一緒にステージを見ていた悠月は、そう言ってわたしの頭を軽くなでると、そのままステージの方に向かっていく。

……って、どうして悠月がステージに!?

どうしよう、止めにいったほうがいいのかな。
おろおろしていれば、meteor(メテオ)の新メンバー加入希望だと勘違いしたらしい星穏さんが、悠月に話しかける。


「お、君も加入希望者やな。名前、聞いてもええ?」

「……」


だけど悠月は、星穏さんの問いかけを見事にスルーしている。


「え、何あの子。星穏くんが話しかけてるのに無視って……」


悠月の生意気な態度に、観客席が小さくざわつく。