「おい、メンバー募集だってよ。お前、行ってみれば?」
「はぁ? meteor(メテオ)に加入とか、ぜってー無理に決まってんだろ!」
パフォーマンスを見ていた男の子たちは、笑いながら校舎の方に向かって行ってしまった。
まぁ、人がたくさん見ている中でいきなり名乗り出るのは、さすがに勇気がいるよね。
「でも、わたしが男の子だったら、ちょっと興味あったかも……いやでも、推しは遠くから見て応援するのが一番いいからなぁ。うん、やっぱりないな」
自分が男の子だったら……と、メンバーに加入した姿を想像しようとしたけど、すぐにその考えをかき消した。
「紗南はさ、ああいう風に、歌って踊れるやつが好きなわけ?」
「え?」
「ハマってたゲームの推しも、歌って踊ってただろ」
隣で黙ってステージを見ていた悠月にたずねられる。
確かに、きらアイの推しである響音くんもアイドルだ。
だけど、響音くんがアイドルだから推しになったってわけではない気がするんだよね。
わたしは、響音くんのきらきらの笑顔や、どんなことだって一生懸命がんばることができる、ひたむきに努力できる姿に惹かれたんだ。



