「悠月、大きくなったよねぇ」

「はぁ? 何だよ急に」

「ふとそう思っただけだよ」

「……まぁ、これからまだまだ大きくなる予定だけど」

「えー、まだ伸びるつもりなの?」

「当たり前だろ。あと百センチはほしい」

「ふふ、それは大きすぎじゃない?」


大真面目な顔をしてそんなことを言う悠月に、思わず笑ってしまった。今でも十分高いのにね。
でも、まだ中学生になったばかりだし、これからもっと、ぐんぐん大きくなっていくんだろうなぁ。


「紗南。今回の任務については、おじさんにちゃんと話は聞いてるんだよな?」

「うん、もちろん!」

「父ちゃんにっていうより、オレに、が正しいけどな」


元気よくうなずけば、制服のポケットからひょっこり顔を出したコンブが、わたしの言葉を律儀に訂正してくる。


「……紗南。どうせまたボーッとして、ろくに話を聞いてなかったんだろ。で、後でコンブに説明してもらった」

「へへ、その通り!」


笑ってごまかそうと思ったけど、

「話はちゃんと聞けよ」

って、悠月に注意されちゃった。
だって初めは、依頼を引き受けるつもりなんてなかったんだもん……!

でも話をちゃんと聞いてなかったのは事実だから、

「気をつけます」

って、素直にうなずいておいた。