「どうしてって、おれも鶯花咲に転校するからに決まってるだろ」


しれっと答えた悠月は、普段通りのクールな顔をしている。

だけどそんなの、わたし、全然聞いてないんだけど!?
っていうか悠月がいるなら、わたしまで転校する必要はなかったんじゃないのかな?
悠月は陰陽師としてすごく優秀だって、お父さんも言っていたし……。


「もう、何で教えてくれなかったの?」

「別にいいだろ」

「よくないよ! この前、転校することにしたって話はしたでしょ? でも悠月、あの時は何も言ってなかったじゃん!」


わたしは、鶯花咲に任務のために転校するって決まった日に、悠月にすぐに知らせに行ったんだ。
だけど悠月の反応は「あっそ」と冷めたもので。
一緒に転校するなんて、そんな素振り、あの時は全然なかったのに。


「もしかして悠月、わたしが鶯花咲に転校することになったから……さみしくてついてきちゃったとか?」

「……」

「い、いふぁい! はひふんほほ~!」


悠月に無言で頬っぺたを引っぱられる。
ちょっと痛くて涙目になっていれば、パッと手をはなした悠月は、フンッとそっぽを向いた。