「うん、だって、困っている人たちを放っておけないからね!」

「とか言って、さっき会った男にまた会えるかもって期待してるんだろ?」

「ギクッ!」

「ったく、紗南はほんとうに分かりやすいな」


コンブはあきれた顔をしながら、くあっと小さなあくびをもらしている。


「……ねぇ、コンブ」

「ああ? 何だよ」

「実はわたしね、さっきのお父さんたちの話、ちゃんと聞いてなかったんだけど……」


――結局わたしは、鶯花咲学園に転校して、何をすればいいんだっけ?

へらりと笑いながら聞いてみれば、コンブは「はぁ」と大きな溜息をもらした。


「ったく、そんなことだろうと思った。……いいか、よーく聞けよ」


コンブは、小さな前足をビシッとわたしの顔に向けて、真面目な声で話し始めた。


「今回の任務は、鶯花咲学園に転校して、学園で起きている怪奇現象を解決すること。そして、怪奇現象の原因でもある“セイレーンの呪い”を、完全に封印するんだ」