「それでは、こちらがパンフレットと書類になりますので、記入後に提出してください。入学の手続きはこちらで進めておきますね。それから制服ですが、こちらから採寸する者をよこします。転校は一週間後ということでよろしいでしょうか?」

「……はい。紗南本人がやってくれると言うなら、ことらとしても問題ありません」

「ありがとうございます……! それでは、よろしくお願いします」


学園の先生は、深く頭を下げてから帰っていった。
先生を玄関まで見送りに行ったお父さんに「わたしは部屋で勉強してるね」って伝えて、二階にあがる。


「……おい、紗南。さっきの話、本当に引き受けちゃってよかったのかよ」


自分の部屋に行けば、胸ポケットから飛び出してきたのは、黒くてもふもふしている小さなキツネ。
この子は、わたしの式神のコンブっていうの。

式神は、陰陽師の霊力をつかって呼び出すことができるんだ。
困った時には力になってくれる、すっごく頼りになる存在なんだよ。

まぁ、めんどうくさがりなところがあるのが玉に(きず)、なんだけどね。
コンブは、わたしの大切な相棒なんだ。

……あ、ちなみにどうしてコンブっていう名前にしたかというと、この子が昆布が大好物だからだよ。