どのぐらい、この場所に立っていたのか分からない。
みんな帰っていくのが気にならないくらい、自分の世界に入り込んでいた。
ゆっくり過ぎていく時間と、潮風の匂い。
水平線に沈んでいく太陽を見つめながら、思いふけっていたんだ。
私にとって、この島での生活が、懐かしくて心地いいって感じている。
「美央」
「なに、賢斗くん」
私は賢斗くんに背中を向けたまま、薄暗い海の水平線を見つめて静かに口を開く。
「こっちに、帰ってくることはできないのか」
「……」
私は、賢斗くんの言葉に、なにも答えられないでいた。
島での暮らしは、自分に合ってるような感じがする。
都会の喧噪を離れ、静かなこの島での暮らし。
懐かしい思いと合わせて、すべてが心地いい。
でも、東京にはお母さんがいる……



