「あら、賢斗くん……いつも堂々と店に上がり込んでレモネードのジュースを飲んでいくのに、今日は恥ずかしがって……あっ、なるほど」
律子さんがそう言いながら、私を見てほほ笑んだ。
「東京から美人さんが帰ってきたって島は大騒ぎですもんね、偵察しにきたのかしら?」
律子さんの言葉に、男の子は顔を恥ずかしそうに赤くして店を走り出て行った。
「私、あの男の子どこかで見たような気がするのよね……賢斗くんか……」
悩む私の顔を見て、真央が無言のまま目を細めニヤニヤ笑顔を見せている。
「……!」
「真央、なにニヤニヤ笑ってるの?」
「……」
真央は顔を横にそむけて知らん顔。
口をへの字に曲げて不機嫌な私を見て、お父さんがほほ笑みかけてくる。
ゆっくり歩いて店に入ってくると、目の前に立って顔を見つめてきた。
私は思わず、緊張で言葉が出てこない。
「美央、ひさしぶりだな。元気にしてたか……」



