覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



「ところで、私はこれから……」


 私は、とりあえず父島へ来てから考えようと思っていた。

 この島に来てからのことは無計画だったけど、どんなことをしてでも妹に会いたかったから……


「東京に帰るまで、ここに泊まればいいじゃないですか」


 律子さんの言葉に安心した。

 話を聞いていた真央が素早く反応する。


 椅子から立ち上がって鞄からタブレットを取りだし、ものすごい勢いで画面をタップして文字を打ち込み始めた。

 見た感じ、ちょっと怒ってるようにも感じる。


 言葉が話せないからなのか、顔の表現がゆたかだ。

 打ち込みが終わると、真央は律子さんに向かって突き出すように画面を見せる。

 そこに書かれてる言葉は……


『ここは、りっちゃんの家じゃない! あたしとお姉ちゃんの家だよ! 居候のくせに生意気な、あとで脇の下コチョコチョするからね!』と書かれている。


 私はその言葉を見て、安心したのか笑ってしまった。

 去年の春から住み込みで働いてる律子さんとも仲が良さそうだし、言葉が話せないからって、ふさぎ込んでるわけでもなさそう。

 真央は幼少の頃のように、活発的で元気な妹のままだ。