「お〜い、鷹栖〜!起きろ〜!」
そんな声が聞こえて、僕は重たいまぶたを開けた。
目の前には月海くんの顔があって、眠気なんて一瞬で吹き飛んだ。
「へ…あ、なんで月海くんが…?」
「おいおい、忘れたのかよ…」
確か温泉に行って、その後は琉偉に会ってふたりがどこかに行っちゃったんだ。
その後部屋に戻ってなんだか眠くて。
「思い出した…。ごねん、寝ちゃってたね」
「全然いいよ。それよりさ、この後散歩行くんだろ?はやくいこーぜ!」
にこっと笑ってくれて、僕の心臓がドクンッと大きくはねた。
僕はゆっくりとうなずいた。
ーーーーー
僕達は旅館を出て、紅葉の道をゆっくりと歩いて進んでいく。
ライトアップもされていてとてもきれいだった。
思わず見惚れてしまうほどに。
ずいぶんと歩いたところで、月海くんが動きを止めた。
不思議に思って僕も立ち止まる。
「月海くん、どうし…」
「鷹栖は今何を考えてるの?」
僕が言い終わる前にそう言った。
どうして、そんなことを聞くの?
「何って…いきなりどうしたの?もしかして…琉偉に何か言われた?」
「いやまあ、ずっと気になってたからさ」
気まずそうに目をそらした彼を見て、きっと琉偉に言われたのだろうと察しがついた。
でも、どうして隠すのだろう。
「君に言うようなことじゃないよ」
そう言うと、月海くんはひどく悲しそうにした。
それから僕の肩をつかんで言った。
「隠すなよ…!もっと頼れって言ったじゃん…!!俺はっ、あの時頼ってくれたんだって思って嬉しかった。でも、もう頼ってくれないのか…?」
「それは…」
何も言えなくなった。
彼に何も告げずに距離をとっては不自然だ。
こうなるのも分かっていた。
「なあ、俺はどうやったら鷹栖の特別になれる?俺は、鷹栖のこともっと知りたいんだ」
僕は服のすそをギュッとにぎった。
こんな言葉聞いたら、期待しちゃうじゃないか。
さっき悩んでいたのが嘘みたいに、すらすらと言葉が口から出ていた。
「本当に申し訳ないと思ってるんだ。君に頼りっぱなしで僕は何もできていないし。琉偉ともめてるのも僕のせいだろ?僕は、誰にも傷ついてほしくないんだ…」
僕に関わらなければ、こんなことにならなかったはずなんだ。
それは月海くんだって分かっているはず。
なら離れてほしい。
とり返しがつかなくなる前に。
「鷹栖」
月海くんの落ち着いた声が響いた。
それから、パッと顔をあげる。
「鷹栖は勘違いをしてるよ。本気で全部自分のせいだと思ってる?俺が傷ついてるって…そう思ってる?」
「…思ってるよ。だって僕はっ…」
「鷹栖!もう、そういうのやめろって。俺は鷹栖と過ごせて毎日すごく楽しいよ。鷹栖は俺を幸せにしてくれるんだ。だから、今度はお返しがしたい。ただそれだけなんだ。勝手に自分を責めるなよ…」
月海くんは悲しい顔で、僕のほほをなでた。
初めて彼の気持ちを口から聞いた。
もし、それが全部君の本音なら僕は…。
「本当に?」
「ああ。嘘ついてるように見える?」
その言葉には肯定も否定もしなかった。
「僕…は、君が笑ってるのが好きなんだ。月海くんには幸せになってほしい」
「なら、俺とずっと一緒にいて。それだけでめちゃくちゃ幸せだから」
「っ…!」
僕はいつのまにか泣いていた。
嬉しかったんだ、とっても。
君の幸せの未来に僕がいることが、僕が君に必要とされたことが。
僕が生まれたのは罪を償うためじゃない。
初めてそう思えた。
そんな声が聞こえて、僕は重たいまぶたを開けた。
目の前には月海くんの顔があって、眠気なんて一瞬で吹き飛んだ。
「へ…あ、なんで月海くんが…?」
「おいおい、忘れたのかよ…」
確か温泉に行って、その後は琉偉に会ってふたりがどこかに行っちゃったんだ。
その後部屋に戻ってなんだか眠くて。
「思い出した…。ごねん、寝ちゃってたね」
「全然いいよ。それよりさ、この後散歩行くんだろ?はやくいこーぜ!」
にこっと笑ってくれて、僕の心臓がドクンッと大きくはねた。
僕はゆっくりとうなずいた。
ーーーーー
僕達は旅館を出て、紅葉の道をゆっくりと歩いて進んでいく。
ライトアップもされていてとてもきれいだった。
思わず見惚れてしまうほどに。
ずいぶんと歩いたところで、月海くんが動きを止めた。
不思議に思って僕も立ち止まる。
「月海くん、どうし…」
「鷹栖は今何を考えてるの?」
僕が言い終わる前にそう言った。
どうして、そんなことを聞くの?
「何って…いきなりどうしたの?もしかして…琉偉に何か言われた?」
「いやまあ、ずっと気になってたからさ」
気まずそうに目をそらした彼を見て、きっと琉偉に言われたのだろうと察しがついた。
でも、どうして隠すのだろう。
「君に言うようなことじゃないよ」
そう言うと、月海くんはひどく悲しそうにした。
それから僕の肩をつかんで言った。
「隠すなよ…!もっと頼れって言ったじゃん…!!俺はっ、あの時頼ってくれたんだって思って嬉しかった。でも、もう頼ってくれないのか…?」
「それは…」
何も言えなくなった。
彼に何も告げずに距離をとっては不自然だ。
こうなるのも分かっていた。
「なあ、俺はどうやったら鷹栖の特別になれる?俺は、鷹栖のこともっと知りたいんだ」
僕は服のすそをギュッとにぎった。
こんな言葉聞いたら、期待しちゃうじゃないか。
さっき悩んでいたのが嘘みたいに、すらすらと言葉が口から出ていた。
「本当に申し訳ないと思ってるんだ。君に頼りっぱなしで僕は何もできていないし。琉偉ともめてるのも僕のせいだろ?僕は、誰にも傷ついてほしくないんだ…」
僕に関わらなければ、こんなことにならなかったはずなんだ。
それは月海くんだって分かっているはず。
なら離れてほしい。
とり返しがつかなくなる前に。
「鷹栖」
月海くんの落ち着いた声が響いた。
それから、パッと顔をあげる。
「鷹栖は勘違いをしてるよ。本気で全部自分のせいだと思ってる?俺が傷ついてるって…そう思ってる?」
「…思ってるよ。だって僕はっ…」
「鷹栖!もう、そういうのやめろって。俺は鷹栖と過ごせて毎日すごく楽しいよ。鷹栖は俺を幸せにしてくれるんだ。だから、今度はお返しがしたい。ただそれだけなんだ。勝手に自分を責めるなよ…」
月海くんは悲しい顔で、僕のほほをなでた。
初めて彼の気持ちを口から聞いた。
もし、それが全部君の本音なら僕は…。
「本当に?」
「ああ。嘘ついてるように見える?」
その言葉には肯定も否定もしなかった。
「僕…は、君が笑ってるのが好きなんだ。月海くんには幸せになってほしい」
「なら、俺とずっと一緒にいて。それだけでめちゃくちゃ幸せだから」
「っ…!」
僕はいつのまにか泣いていた。
嬉しかったんだ、とっても。
君の幸せの未来に僕がいることが、僕が君に必要とされたことが。
僕が生まれたのは罪を償うためじゃない。
初めてそう思えた。


