黒ねこプリンセス✡マジカルショータイム!

 ヨルルは、ハロウィーンカボチャと、パンプキン包丁をもって、自分の部屋にもどります。
 オレンジ色のカボチャと、しばらくにらみあってから、手をにぎる力をこめました。
「さあ。あなたをジャック・オー・ランタンにしてあげる」
 マジックペンをもち、どんなかおのカボチャにしようかと考えます。
 いつもは、さんかくの目に、ギザギザの口。
 それは、これまでの黒ねこプリンセスたちが描いてきた、おなじみのジャック・オー・ランタンのかおでした。
 でも、どうせなら、とくべつなものにしたい。
 だって、ゴーシュが、とてもたいせつなパンプキン包丁をかしてくれたのだから。
「わたしは、みんなのために、りっぱな黒ねこプリンセスにならないといけないんだから!」
 黒ねこプリンセスである、ヨルルのジャック・オー・ランタン。
 いままでに、見たこともないような、とびっきりかわいいカボチャにしよう。
「ねえ、聞いてる? カボチャさん。ミッドナイト✡ハロウィーンは、明日なんだ。かんぺきなヨルルのカボチャになってくれないと、こまっちゃうよ!」

 ☆ ヨルルといっしょにジャック・オー・ランタンをつくろう! ☆
 ゴーシュからもらった、大きなオレンジカボチャ! 
 ヨルルといっしょに、すてきなジャック・オー・ランタンのかおをかこう♡

「あなたは、黒ねこ。ヨルルのカボチャねこだよ。さあ、ニャーンとないてみて!」
 ヨルルは、ゴーシュの包丁さばきを思いだしながら、しゅぱしゅぱと、カボチャをくりぬいていきます。
「……できた!」
 ヨルルは満月のように、たっぷりのえがおで、カボチャをかかげます。
 そのとき、コンコンと部屋のドアがノックされました。
 ゴーシュが夜食をもって、きてくれたようです。
「見て、ゴーシュ! これがわたしの、黒ねこジャック・オー・ランタンだよ」
 ヨルルは、できたてのジャック・オー・ランタンをゴーシュに見せました。 
 くらやみで、あやしげにわらう、三日月型の目。
 するどいキバがクールな、くち。
 そして、キュートな、さんかく黒ねこ耳。
 ゴーシュは夜食がのっているワゴンから手をはなし、パチパチと手をたたいてくれました。
「……これは、あたらしい! すごいじゃないですか。ひめさま」
「どうかな。これなら、夜の魔法『ジャック・オー・ランタン・ショータイム』。わたしにも、できるかな!?」
「気になるなら、ここでどうぞ?」
 ゴーシュが、夜風のようにほほえみます。
「ひめさまのショータイム。わたしに、いちばんさいしょにたんのうさせてくださいませ」
「わ、わかった! キンチョーするけど、がんばるよ」
 ヨルルは、できあがったばかりの黒ねこジャック・オー・ランタンを、ぎゅっとだきしめます。
 そして、何度もとなえては、しっぱいしてきた、じゅもんをとなえます。
「夜空のキラキラ わたしのカボチャにあつまって! 夜の魔法『ジャック・オー・ランタン・ショータイム』!」
 そのときです。
 見たことのない、オレンジ色の光が、ヨルルの部屋にあふれます。
 三体のジャック・オー・ランタンが、こぼれるようにあらわれて、ヨルルのまえにころがってきました。
 そして、そのばでジッと、ヨルルのことをまっています。
 ヨルルは、パアッとりょうてをあげて、よろこびます。
「ジャック・オー・ランタン! タワーになってみて!」
 すると、ヨルルのあいずにしたがうように、三体のジャック・オー・ランタンたちは、それぞれの上にジャンプしてのっかり、りっぱなタワーを作ります。
「ハロウィーンのランタンのあかりをともして!」
 ヨルルのあいずどおりに、ジャック・オー・ランタンたちは、あかりをともし、オレンジ色に光ります。
 ヨルルは、うれしさに、ゴーシュにとびつきました。
「これで、明日は黒ねこプリンセスとして、みんなによろこんでもらえるよね?」
 ゴーシュは、うんうんとうなずきます。
「さあ、夜食がさめてしまいます。まずは、サケとほうれんそうのパイをどうぞ」
 ヨルルが、はじけるようなえがおで、パイを手にとりました。
 いよいよ、明日はミッドナイト✡ハロウィーンです。
 ヨルルのショータイムのほんばんです!