夜を繋いで君と行く

* * *

「律、あの、さ。」
「ん?」

 今日は律の方が帰りが遅く、怜花が用意していた夕飯を食べながら怜花の方から口を開いた。

「あの、土日休み、だったよね?」
「うん。」
「ちょっとその、聞いてほしい話があって。」
「うん、わかった。」
「即答!?」
「え、うん。」
「何の話かとか、聞かないの?」
「うん。何の話だとしても聞くからね。あ、待てよ。別れ話は聞かない。それは絶対聞きません。別れません。」
「そんな話じゃないよ!」
「でしょ?さすがにそれではないかなとは思ってるよ。でもさぁ、今日九重くんと怜花の話になって、九重くんが怜花のこと好きなんじゃないかっていうくらい、怜花のこと語るしさ~。あと、同士って何?」
「同士?」

 律はもぐもぐと口を動かしながら強く頷いた。

「九重くんがさぁ、怜花と自分は同士だって言ってたんだけど、それ以上説明してくれなかったんだよね~。俺に言えないこと?もしかして浮気?」
「う、浮気!?」
「えーだってさぁ、九重くんって仕事できるし別に格好悪いとかもないし、むしろスパッとしてて迷いもなくてかっこいいじゃん。九重くんは怜花のこと、好きだってさ。俺と同じ意味の好きではないって言ってたけど。」
「あ、そ、そうなんだ。よかった、その、邪魔だなとか思われてなくて。」

 怜花はあからさまにホッとしていた。九重は律を長年支えてきた人だ。そんな人に煙たがられたくはなかったし、そういう人だからこそ、認められたようで嬉しい。そんな怜花のことを律は少し口をとがらせながら見つめている。

「……そんな嬉しそうにしないでくれる?普通に妬きます、俺は。」
「え、えぇ?」
「それで、同士って何のこと?白状してくださーい。」
「は、白状も何も……同士…あ、あ!その、名古屋で迎えに来てもらった時に、そういう話をしたんだよ。律のことを支える同士として協力しましょうみたいなね。それで握手を……。」
「は!?手繋いだの!?」
「繋いだんじゃなくて握手だよ。ほらあの、こういう手をまっすぐ出して、よろしくお願いしますって。」
「いやわかるけどさ。あのさぁー怜花、それ結構無防備じゃない?怜花にそんなことされたら勘違いする男もいるからさぁ。九重くんはちゃんとしてるからそういうのないけど、男って普通にバカだからね?」

 この先話すことは、こんな風にポンポンと会話が弾むように話せることではない。そう思って少し不安があったのに、目の前に律がいて、その声がするとその不安の色は薄くなる。