夜を繋いで君と行く

「ま、待って待って。ちょっと待って。うわ、待って。今度は俺が泣く、そんなん言われたら。」
「え、えぇ?なんで?」
「実質プロポーズじゃんこんなの。」
「なんで!?」
「だって、『俺がいてよかった』んだよ?」
「そ、そうだけどっ……。」
「俺がいないと眠れなくて、泣き止めなくて、いてくれてよかったわけで、俺の声なら届くわけじゃん、どんな状況でも。ってことはさ、この先もずっと一緒でしょ?じゃないと怜花が苦しくなった時に困るわけだから。」
「り、理詰め……。」
「理詰めにもなるよね?だってさぁ、結局理屈が必要なんだもん、怜花には。はぁー……こりゃやばい。だめだー顔がってか口がだめ。まじで。すっごいだらしなくなる。はぁー……結局さぁ、俺が甘やかしたくて甘えてほしくて色々したかったのに、最後は全部怜花にもってかれちゃうんだ。そうなんだよね、いっつも。敵わないなぁ。」

 そう言うと律はバッと起き上がって腕を上に伸ばした。そして少し赤く染まった頬のまま、怜花を見つめた。

「怜花がいてくれてよかったなんて、今に始まったことじゃないけど。俺も何度もそう思ってるからね。にしてもさぁ……ほんっと、怜花っていきなり爆弾投げてくるよね。今日のはほんと、すごい被弾した。」
「被弾って……だ、だってその、本当にそう、思った、から。」
「とどめー!」
「も、もうわ、わかった!もう言わない!お腹空いたからなんか食べる。」

 律のオーバーリアクションに怜花の方が恥ずかしくなる。何気なくただ素直に言ったのに、赤い顔で返されてしまうと本当に恥ずかしいことを口走ったのだとわかってしまう。いたたまれなくなって、怜花はベッドを飛び出した。いつものパタパタという足音が寝室から遠ざかっていく。その音を聞きながら、律は片腕で目を覆った。

「……ちょっと走ってんじゃん。回復してる。ってか回復したと思ったらいきなり爆弾すぎるでしょ、もう。」

 律も体を起こして、寝室を後にする。きっと美味しいものを作ろうとするその人の隣で、そんな姿を見続けていい特権は誰にも譲りたくない。

「怜花、何作んのー?」
「フレンチトースト!」
「俺もやるー!」

 寝室から声を出したその大きさに比例するように、怜花にしては大きく返ってきたその声に、律の口元は自然に緩んだ。