夜を繋いで君と行く

* * *

「はい、朝ご飯も皿洗いも終わったから次は?」
「つ、次……。」

 怜花は完全に言葉をなくしてしまった。寝不足で少し頭も痛いし、今日の夜は眠れるのだろうかと考えれば不安になるし、しかしそれは自分の問題で、律に何かをしてもらうことはできない。

「また顔が暗くなっちゃったよ。何考えてんの?」
「え?」
「ご飯食べてた時は少し明るかったけど、すぐ落ちた。何?何が引っかかった?」
「……え、えっと、寝不足、だからなのかわかんないんだけど、頭ちょっとズキズキするの、と……。」
「うん。」
「眠れなかったらどうしよう、って……考えちゃって。」
「んー…そういう時、どれなら怜花の気持ちのハードル低いのかなぁ。一緒に考えてとかは言いにくくない?」

 『一緒に』という言葉が自分の中から出てこない。言いにくい以前に、レパートリーの中にないのだ。

「一緒にって発想が、ないのかも。律に言われて今ハッとした。」
「はぁー……なるほどなぁ。じゃあさ、俺が何個か選択肢出すからそこから選ぶ感じにしよっか。怜花の中に引き出しないのに、案出すの難しくない?」

 怜花は頷いた。選ぶことは、悩みながらも多分できる。

「じゃあうーん…どうしよっかなぁ。頭痛いなら薬飲んで二度寝する?添い寝ありで。添い寝っていうか、普通に俺も寝そうだけど。」
「律も眠いよね。私のこと運ばせたし……。」
「怜花が寝るまで見届けないとって思ってたからあの時は眠気吹っ飛んでるけど、まぁ朝食べたし怜花が昨日よりはましになってるから俺もさすがにちょっとは気、抜けたよ。」

 ふわ、とあくびをした律を見て、怜花は片手をぐっと握った。

「二度寝が、いい。」
「え?」
「薬飲んで寝る。……律も。」

 怜花は律の手首の裾を引いた。そんな怜花に、律は少し頬を染めて笑顔を浮かべる。

「律もってもう一回欲しいかも。」
「え?」
「それ可愛すぎ。うわーなにそれ。初めてじゃない?そんな引っ張りながら一緒にってするの。にやける…うわー…」
「そ、そんな大したことしてないのに!」
「だからさぁ、怜花はもっと自覚してって。可愛いこともだけど、俺がすっごい好きだから何でもクリーンヒットすんの。……自分で練習とかっていって甘えさせようとしてるけど、この甘える攻撃受けて大丈夫かなぁ、俺。基本怜花の答えがないと動かないことにしようとは思ってるけど、ダメかも。やらかしそう。」
「く、薬飲んでくる!」
「うん、行ってらっしゃい。でも飲み終わったらもう1回、『律も』ってやつやって?」
「や、やんないよ!」