夜を繋いで君と行く

* * *

 怜花が湯船に体を深く沈めると、律のTシャツが水を吸って一気に重くなった。ハーフパンツも用意されていたがTシャツの長さだけで充分だったため、丈の長いTシャツ1枚を着た状態で、湯船の中で体育座りをした。

「怜花、終わったー?」
「お、終わった!」
「じゃ、入りまーす。」
「う、ん。」

 怜花は顔の半分を湯船につけて、目を閉じた。

「え、もしかして目瞑ってる?」
「見ないようにするって言ったし…。」
「さすがに今は全裸だけど、体洗ったら俺も下は履くって。っていうかさ、水着買えばよくない?そしたらもっと気軽に一緒にお風呂やれそうかなって思ったんだけど。Tシャツ、重いでしょ。」
「…重いけど、でもそもそも、…普通に脱いで入ればいいだけ、だもんね、本当は。」

 シャワーの音が一瞬強くなる。きゅっと蛇口が閉まる音がすると、ひたひたと足音が近付いた。
 律が入ると水位が上がる。怜花は目を開けていないので確認していないが、おそらく雰囲気から察するに律は自分と向かい合うような形で入っている気がする。

「目、開けていいよ。入った入った。あ、怜花の手発見。」

 律の手が怜花の手を捉え、ゆっくりと指が絡んだ。それを感じて、怜花は目を開けた。

「う…や、やっぱり明るい…っ…。」
「上もだめー?ほら、怜花の好きな筋肉、触り放題だよ。」
「筋肉が好きってわけじゃないってば!」
「ぽっちゃりの方が好みなの?」
「そうじゃないけど!」
「入浴剤のおかげでほどほどに濁ってるしさ、大丈夫大丈夫。」
「目のやり場…っ…。」
「なんで?別にそんな大した体じゃなくない?マッチョとかでもないし、普通っていうか。」

 律本人は忘れているようだが、律の顔は整っている側に入っている。この顔でただずっと優しく、そして甘く怜花が安心できる言葉だけを囁いていた。そして少し薄暗かった空気の中で纏っていた色気は、服を脱いで初めて解放されたように感じた。今まで律が男っぽさをあまり出さないでいてくれたからだとわかっているが、何も纏わぬ姿で触れた律の体がこの明るさの前で差し出されてしまうと、たとえ肩しか見えていないといえど妙に照れて直視できなくなってしまっていた。