夜を繋いで君と行く

* * * 

 横座りをした怜花と、胡坐をかいた律がソファの上で向かい合っている。時刻は23時59分だった。

「ねぇ、眠そうな顔しないで。本番なんだけど。」
「本番って言われても…。だって日付が変わるってだけで…。」
「怜花の誕生日!」
「…自分の誕生日って、そんなに楽しみではなくない?」

 デジタル時計が新しい日付がきたことを示している。律が怜花の両手を取ってぎゅっと握った。

「誕生日、おめでとう。」
「…ありがとう。」
「よし、まずは一つ目、満足した。寝よ!」
「えっ?」
「あ、一つ満足したってだけで、まだまだやりたいことあるからね。」

 律はソファから下りて立ち上がる。そしてすぐに振り返って怜花の手を取る。怜花もその手に引かれて立ち上がった。

「午前中からデート行きたいし、早く寝よ。」
「…律が早く寝たいって言うから何かと思ったら…そういうことね。」

 律はいつも、なかなか寝ようとはしない。少しの時間を惜しむように、眠たげな目線を怜花に向けながら眠気に抗っている。しかし今日はすっと自分からベッドに入っているし、怜花に向けてにこにこの笑顔で手招きをしている。そんな姿に力がより一層抜けて、怜花は小さく微笑む。怜花がベッドに入るやいなや、律の腕は怜花を抱き寄せた。

「…誕生日祝えんの、めちゃくちゃ恋人っぽい。」
「…よくそんな恥ずかしいこと言えるね…。」
「恥ずかしいこと?これって。」
「…少なくとも私はそんなことは言えません。」

 顔全体が熱くなってきたことを感じて、怜花は律の肩に顔を押し付けた。するとくすっと笑った律の手が怜花の後頭部に回った。ベッドの中で頭をすっぽりと抱え込まれるように抱きしめられたのは初めてで、ぐっと心拍数が上がったことを感じる。腕が緩んで律が少し下を向いたと思ったら不意に律の唇が怜花の耳に触れた。唇の離れる音がやけにリアルで、怜花の体は正直にびくっと反応した。

「ちょっと…!?」
「ベッドの中でいちゃいちゃするのをちょっとだけレベルアップさせます。」

 わざと鳴らしているのではないかと思うくらいの音を立てて、耳たぶに、頬にと口づけていく。特に耳はよくない。音がダイレクトすぎる。

「律っ…!」
「練習練習。」

 耳たぶが少しだけ食まれる。ただ触れることだけしかしなかった律の唇が初めて別の動きを見せて、鼓動が早くなりすぎて苦しい。

「はい、ここまで!これ以上やりません!どう?ドキドキした?」
「…するに…決まってる…でしょ…。」
「だよね。でもあとはね、怜花がゆっくり眠れる夜を提供する人になるんで。寝よ。」

 また伸びてきた手がまた怜花の頭をすっぽりと包む。律の香りは不思議だ。心拍数が上がるけれど、ある一定を越えて無音の空気になるとゆっくりと心拍は落ち着き、瞼が落ちてくる。

「おやすみ。…もう、寝てる?…可愛いね。」