* * *
片付けを終え、怜花はカバンから手帳と愛用のペンを取り出してリビングに戻ってきた。リビングの座卓に手帳を広げ、カーペットの上にペタンと座る。
「怜花、何か飲みたいものある?」
「まだフルーツティーって残ってる?」
「うん、あるよ。」
「じゃあ、ピーチティーがいいな。」
「はーい。」
律の家で手帳を広げるのは初めてだった。誰に見せるわけでもない手帳は、その日のことを振り返ったり、ちょっとした気持ちの整頓をしたりするために使っている。毎日細かく書けない日もあるが、それはそれと思ってかれこれ数年はそんな風に手帳を愛用していた。文字を書くということは、自分の心も思考も落ち着けてくれる気がして、それも手帳を書き続けている理由の一つだ。
「はい、お待たせ。」
「ありがとう。」
怜花の手帳から少し離れたところに、律はマグカップを置いた。
「怜花、もうちょいテーブルの近くの方にいける?そこじゃちょっと書くには遠くない?」
「あ、うん。寄れるよ?」
「じゃあテーブルの方に寄って?」
「うん…?」
怜花が移動すると、律は自分の飲み物が入ったマグカップをテーブルに置き、そのまま怜花の後ろに座った。
「…なんで隣じゃなくて後ろ?」
「やりたかったんだよね、後ろからハグするやつ。書く邪魔はしないから~。」
怜花を囲うように足を広げて座った律の腕が緩く回った。普段は肩のあたりを抱かれることが多いため、お腹のあたりに伸びてきた腕に怜花が少しだけびくっと反応してしまう。
「ここ、触られんの、嫌?」
「…びっくりしたの。」
「書くの邪魔しないようにするにはさ、俺の腕が下にある方がいいかなって思ってこうしたけどどう?邪魔?」
「…邪魔じゃないけど…あの、本当にこの体勢でいるつもり?」
「え、うん。だっていっぱい触りたいし、くっついていたいし。多分しばらくやってたら俺のことなんて気になんなくなるよ。怜花、順応性高いし。」
「…順応しなきゃいけないのは、律の手だけじゃないんだけど…。」
「え?」
「…声も近いし、…でも、律がしたいこと、なんだもんね?」
「うん。したいこと。」
「わ、わかった。…頑張ります。じゃあまず好きな食べ物、教えてくれる?書くのに集中して何とかするから。」
「ん-…そうだなぁ。」
そう言いながら、律は怜花の腹部に回した腕に力を込めた。怜花の肩にポンと顎を乗せて、口を開く。
「いわゆる子供が好きそうなやつが好きかも。カレーとかハンバーグとか。口の好みは洋食だったけど、怜花の作る和食は美味しくて好き。結局怜花の味付けが好きなのかなぁ。あ、俺も質問していい?」
「うん、いいよ。何?」
「怜花の好みのタイプは?」
「へっ?」
片付けを終え、怜花はカバンから手帳と愛用のペンを取り出してリビングに戻ってきた。リビングの座卓に手帳を広げ、カーペットの上にペタンと座る。
「怜花、何か飲みたいものある?」
「まだフルーツティーって残ってる?」
「うん、あるよ。」
「じゃあ、ピーチティーがいいな。」
「はーい。」
律の家で手帳を広げるのは初めてだった。誰に見せるわけでもない手帳は、その日のことを振り返ったり、ちょっとした気持ちの整頓をしたりするために使っている。毎日細かく書けない日もあるが、それはそれと思ってかれこれ数年はそんな風に手帳を愛用していた。文字を書くということは、自分の心も思考も落ち着けてくれる気がして、それも手帳を書き続けている理由の一つだ。
「はい、お待たせ。」
「ありがとう。」
怜花の手帳から少し離れたところに、律はマグカップを置いた。
「怜花、もうちょいテーブルの近くの方にいける?そこじゃちょっと書くには遠くない?」
「あ、うん。寄れるよ?」
「じゃあテーブルの方に寄って?」
「うん…?」
怜花が移動すると、律は自分の飲み物が入ったマグカップをテーブルに置き、そのまま怜花の後ろに座った。
「…なんで隣じゃなくて後ろ?」
「やりたかったんだよね、後ろからハグするやつ。書く邪魔はしないから~。」
怜花を囲うように足を広げて座った律の腕が緩く回った。普段は肩のあたりを抱かれることが多いため、お腹のあたりに伸びてきた腕に怜花が少しだけびくっと反応してしまう。
「ここ、触られんの、嫌?」
「…びっくりしたの。」
「書くの邪魔しないようにするにはさ、俺の腕が下にある方がいいかなって思ってこうしたけどどう?邪魔?」
「…邪魔じゃないけど…あの、本当にこの体勢でいるつもり?」
「え、うん。だっていっぱい触りたいし、くっついていたいし。多分しばらくやってたら俺のことなんて気になんなくなるよ。怜花、順応性高いし。」
「…順応しなきゃいけないのは、律の手だけじゃないんだけど…。」
「え?」
「…声も近いし、…でも、律がしたいこと、なんだもんね?」
「うん。したいこと。」
「わ、わかった。…頑張ります。じゃあまず好きな食べ物、教えてくれる?書くのに集中して何とかするから。」
「ん-…そうだなぁ。」
そう言いながら、律は怜花の腹部に回した腕に力を込めた。怜花の肩にポンと顎を乗せて、口を開く。
「いわゆる子供が好きそうなやつが好きかも。カレーとかハンバーグとか。口の好みは洋食だったけど、怜花の作る和食は美味しくて好き。結局怜花の味付けが好きなのかなぁ。あ、俺も質問していい?」
「うん、いいよ。何?」
「怜花の好みのタイプは?」
「へっ?」



