夜を繋いで君と行く

* * *

「伊達巻に筑前煮かな、これ。このにんじんと…何だろ、大根かな?何、これ?」
「大根とにんじんで合ってるよ。紅白なます。酸っぱい感じだけど大丈夫?おせちで調べたらこれが出てきたので…。」
「そうなんだ!そういう季節感のある食事ってよくわかんないんだよね、俺。豪華ってことはわかってる!あと、お雑煮はわかる!」
「お雑煮は…その、私が具沢山が好きなのと余った食材結構入れたから、一般的なものとは違うかも。お餅は1個にしたけど、もっと入れたければ増やせるよ?」
「色々食べたいから1つで大丈夫。っていうかたくさんありがとう。…全部美味しそう。ちらし寿司なんて家で食べるの初めてかも。」
「今日は見た目にこだわりました!いつも地味になっちゃうから。」
「地味かなぁ?いつも美味しいし、…ほっとする味がする。怜花のご飯って。俺も徐々に覚えてちょっとしたものなら振舞えるようになるから待ってて。」

 律の言葉に、怜花は静かに頷いた。ゆっくりと視線を移し、テーブルに並べられた食事を眺めるとそれなりの数になっている。お正月にこんなに気合を入れておせちを作ったのは怜花だって初めてだった。律は待ちきれないとばかりに顔を綻ばせている。いつも通り向かい合って座り、手を合わせた。

「いただきます!」
「いただきます。」

 事前に味見はしているため、劇的にまずいものは一つもないはずだが、律の口に合うのかはいつも少し緊張する。特におせち料理は、今まで律としてきた食事の中でも出したことがないものばかりで、いつもよりも律の反応が気になった。

「わ…筑前煮うまっ!味しみてる…優しい味する…。…休みだって感じする。最高…。」
「あの、さ…律の味の好みとか、好きな食べ物とか苦手な食べ物とか、後で教えてもらってもいい?」
「それはいいけど、何で後で?」
「今いっぱい言われたら全部覚えきれないと思うから、えっと、手帳に書かせてもらいたくて。」
「あ!あの怜花の家に置いてあった手帳か!」
「そう。…私、律のことあんまり知らないから、苦手なものも無理して食べさせてたら嫌だなって思って。でもいつも聞き逃しちゃってたから、時間あるここがチャンスかなって思ってて。」
「じゃあ、俺も色々質問していい?俺も知りたいこと、いっぱいある。」
「知りたいこと、律もあるの?」
「え、なんでないと思ったの?あるに決まってるでしょ。1個ずつ交代にしよっか、質問。次はちらし寿司をいただきます!」

 大きな一口で食べる律を見ていると安心する。怜花は肩の力が抜けて、ふっと微笑んだ。