夜を繋いで君と行く

* * *

『今年も残すところあと1時間となりましたね。』
『そうだね。二人はどうだった?今年のイベントとか、アフレコとか、印象的なものとかあった?』

 怜花はほうじ茶を飲みながら、律が出ている配信を眺めていた。律よりも若手の2人のようで、律が主に話を振る役割のようだ。2人共、何かのアニメでは主役をやっていたような気がする。名前は見たことがある2人だった。
 律がMCとして会話を振る姿というのを意識して観るのはこれが初めてで、少し新鮮だった。若い子と関わるときはこんな風に話すのか、会話のパスの出し方が絶妙だななんて思いながら、マグカップに口をつける。

『二階堂さんは、来年映画が公開ですよね。五十嵐監督の最新作…!』
『そうじゃないですか!私好きなんです、五十嵐監督の作品。』
『お、気が合うね。俺も五十嵐監督のファンで、前も出させてもらったんだけどその時はオーディションで選んでいただいてって感じで。でも今回は…オファーだったんですよ。』
『うわぁーすごい!羨ましい…!』
『ファンって言いまくったのが良かったのかな?』
『五十嵐監督ー!私も大ファンです!監督の作品、全部ブルーレイ揃えてます!』

 若手の女の子と男の子から憧れの眼差しを向けられながらも、決して傲慢な態度で先輩風を吹かせるわけでもなく、ほどよく楽しく、緊張しすぎない空気感でトークが進んでいく。そんな姿に、怜花もふふと小さく笑う。家を出るまでごねていた人にはまるで見えないのだからエンターテイナーだ。

『では、一旦15分ほど休憩させてもらいますね。この後また配信再開しますので、ご覧になられている方も温かい飲み物などを準備して、カウントダウン、一緒にしましょう。』

 11時20分を過ぎたところで15分の休憩を挟み、カウントダウンまでするという感じのようだ。確かに、9時くらいから随時事務所の他の先輩や後輩も顔を出しながら進めていた。律はMCとしてずっと出ずっぱりだったので、この辺りで休憩を挟むのは必要かもしれない。

(…夜食は今が出番かな?)

 15分で食べるには少し量が多かったかもしれない。そんなことを考えていると、怜花のスマートフォンが小さく音を立てた。

『豚汁がしみる。すっごい美味い。』

 大きな口を開けて食べている律の表情が浮かぶ。怜花はタップをして、文字を打ち込んだ。